このミス1位『葉桜の季節に君を想うということ』の感想(あらすじ・ネタバレ注意)

hazakura

文庫本コーナーでオススメ1位になっていたので読んでみた。高い評価を受けているようであるが、どうやら私にはハマらなかった。現在読後であるが、もやもやして気持ちが悪いので、文章で振返って消化したいと思う。

オチでは騙された。騙されたが、それ以外は小説としての要素が少ないと感じた

騙しが最大の売りの小説で、文庫本の帯にもそう書いてあるし、私は見事に騙された。が、である。小説を読む時どうしても期待してしまうのは、自身の心に残る描写であったり、強く共感出来る描写などだ。それらを感じた理由は何故なのか?作者は何を表現しようとしたのか?ということを考えたり、議論したり出来ることが楽しいのだ。ただ当該作品については、家に案内され、順を追って部屋を通され、最後に落とし穴に落とされた様な(笑)印象が残った。「数時間だが、休日の楽しみで買ったのに、、、騙し絵でやってくれたら、数分で終わったのに(失礼^^;)」と思ったりした。

展開が早い・インパクトのある画・象徴的なシーンがあるので、サクサク読める

非常に勉強になったのは、振返ると上記の様に「小説の要素は少ない」と感じたわけだが、文章の技術として読み易いことだ。

まず展開が早い

展開が早いので飽きがこない。展開の早さとはすなわち、変化があるということだが、この小説においては、場面が変わるケースが多かった。主人公のいる場所が数ページごとに違うので、飽きずにあまり深く考えずに読む事が出来る。純文学は好きだが、場面が変わらず主人公の内面の葛藤だけで20ページも読んでしまうのは、読書に慣れていない人には辛く、またそれがトリガーとなって眠りの世界に誘われてしまうだろう。エンターテイメント小説の作り方としては勉強になった。

インパクトのある画があり惹き込まれる

画と言っても、実際に挿絵があるわけではないのだが、小説を読む際通常人は想像しながら読むわけで、頭の中に映像や画像が浮かんでいる。早い展開の中で所々インパクトのある画があったので、小説の世界に惹き込まれた。ただ当該小説はミステリー作品で、グロテスクな描写も多かったわけだが、これも面白い気付きであった。

主人公の外見に関する描写は少なく、麻宮さくら(ヒロイン)に関しては多い

全体を通して読んでも、ラストまで主人公にの外見に関する描写はほとんどない。だがヒロインの麻宮さくらについては、顔のタイプや「本来は黒髪ストレートや淡いワンピースなどが似合うタイプなのに、茶髪にパーマをかけて、少し派手目な格好だ。それが彼女の薄い顔のパーツの良さを消してしまっている」くらいの細かな描写をしている。これに完全に騙された。ヒロインの印象をベースに主人公の外見を勝手に脳内で作り上げてしまった。上記の描写は初めて会った際の印象で、次に会った時には、「黒髪ストレートに変えた淡いワンピース」で登場するわけで、その印象は非常にヴィヴィットなわけだ。他のシーンも、展開の早さや、インパクトのある画により、読み易くはあったが、私にとっては、この麻宮さくらが登場するシーンが最も読み易かった。彼女の強烈なインパクトによって、展開に軸が出来ていた。

ラストのシーンは私が30代である為、強く共感出来なかっただけで、もしかしたら・・

ラストは、定年後の恋愛やチャレンジ にスポットを当てたものになるが、どうしても自分とは年齢も離れているし、リアリティがなく、強く感じるものがなかった。なので冒頭の「騙し以外感じるものがなかった」になるのだが、40代以上の先輩方には感じ入る描写なのかもしれない。

まとめ

人の先入観を利用した、騙す為のテクニック的なものは、凄いと思った。(あくまで私の感想だが)騙しだけで、訴えてくる表現や描写を感じる事ができなかった為、何だか小馬鹿にされたような気分になった。作者のプロフィールを見ると東大卒で、余計そんな気がしたのだが(笑)それは嫉妬だろうか。自分は小説を書いた事もないのに批判だけしてしまうことについては、「自分も歳を取ったな」と感じるが、魂を込めて創作された作者には、私の表現の自由をさっ引いた分だけ、お詫びする。

2015/02/22

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