Gainer(ゲイナー)に掲載された、東儀秀樹さんの旅行記を見て思ったこと。

swiss

 

最近バタバタしてブログの更新が出来ずにいたが、久々にゆっくりと雑誌を読む時間があったのだ、LEONにはまだ早いと思っている私は専らGainer(ゲイナー)派だ。雅楽家の東儀秀樹さんのスイス旅行記が掲載されていたので読んでみた。

55歳!信じられない。若い。

よくよく考えると驚くべきことではないのかもしれない。私が初めて氏を知ったのは小学生の時に見たTVCMか何かだったと思う。篳篥(ひちりき)の不思議な音色にと、キャッチーな旋律に子供ながら意識をグッと持っていかれた。その当時恐らく20〜30代だったのだろうから、かれこれ20年近く経っているわけで、55歳であることは不思議なことではない。ただ見た目や雰囲気は40代(下手すると30代)に見える。

偶然に身を任せるのが旅の醍醐味

「今回初めてスイスを訪れました。僕は旅に出る時にガイドブックの類は一切読みません。心の赴くままに歩き回るのが好きなんです。あとでその近くに観光名所があったのにと聞いても、行けばよかったと後悔することはないですね。偶然に身を任せるのが旅の醍醐味だと思っていますから」

ハッとした。というのだろうか。私もほぼ同じ感覚の持ち主である。旅行は好きだが、スケジュールなどおおよそ立てたこともなく、悪く言えば行き当たりばったりだが、よく言えば、その瞬間瞬間を感じるているのである。こういう旅が好きな人は意外と多いのかもしれないが、文章でガツンと表現されると、なんと言うかいい知れない共感の心地よさがある。また東儀さんの演奏の魅力には、こういった感性が反映されているのだろうと思った。

ハッと目の覚める様な文章は文学的な”あるある”を感じされてくれる

「月に着陸したアポロの写真集を見たことがあるんです。そこには見事にモノトーンの世界が広がっていたのですが、信号の赤が見えた時にハッとしました。色があるって素敵なことなんです。氷河の景色もそれを思い出させます。列車の赤が目に入るとワクワクしました」

「(ワインについて)大切なのは、自分が美味しいと感じるかどうかだ」 

これらのインタビュー記事を見るだけで、その情景がありありと浮かぶ。列車の中から真っ白な、荘厳な氷河を見ているのだけれど、横切る列車の赤(エンジ色?)に目を奪われて、その情景を美しいと思い、また白に映える赤色に感じいってしまいそうだ。

旅行記の書き手のテーマには必ず「旅を疑似体験させる」ということがあると思う。しかしこの記事はそれ以上に、「旅を通じて感じた心の機微」までも上手に表現し、他人の心で再生させている。私はスイスは行ったことがない。だがこの文章を読むことによって心の動きの疑似体験が出来た。

こういうセンスのあるライターさんと仕事がしたい

最近本当に思う。センスこそ、取り替えが聞かない貴重なリソースであり、こういう優秀な方と一緒に仕事がしたいと思う。東儀さんご自身の言葉の力もあるが、同行取材の中でその言葉を切り取り、時には情緒的に時には情景描写的に巧みに表現を使い分けたライターさんに拍手を贈りたい。取材・文/今泉愛子さんと言う方だそうだが、いつか一緒にお仕事が出来ればと思いました。

2014/12/16

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